インクカートリッジのリサイクル品の判決(キャノン−リサイクル)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071108-00000115-mai-soci
判決文を全部見ていませんが、ひとつだけわかっているのは、
まだ法律も社会もそこまでしっかり整備されていないから裁判所が苦労して判決(法)をつくっている最中であるということです(並行輸入品のタイヤ判決のときのように)。
リサイクルの公益不正競争法の法益」と「開発者保護のための独占権の法益」とがコンフリクト(小競り合い)を起こしている局面です。
特許権にかぎらず著作権でも今激しくコンフリクトが起こっています。音楽著作権については権利者の側からも激しく管理方法の問題提起がなされています。


知的財産が、物に仮託*1して経済社会に流通されている限り、リサイクルや並行輸入などの末端コントロールの問題は必ず起こり得る反動です。完全に情報のやりとりだけで課金を発生させているのは、現在のところ、お芝居やコンサートや競馬競輪や運賃などといったもともと期限付きの情報(入場券、掛け金などケイタイに入れることができるものがある)や、それに着うたやiTunesストアくらいです。お金もATM化、ネット銀行化、クレジットやデビット化している点では情報なのですが、いずれにせよセキュリティはいたちごっこでいつまでも「完全に安心」できる日はこないまま、なんとか使いこなしています。


これは非常に先の話なのですが、この判決を見て、矛盾を解消する流れを個人的に予測というか空想してしまいました。
まず、お金、次に個人情報、最後に知財が完全に情報のみで移動されることが可能になります。
お金はATM、ネット銀が整備されてきました(まだ不備はあります)。
次にIDとして住基カード公的個人認証カードができてきました(同上)。
そして、課税・保険がたぶん、追跡確認しやすい住民税(法人税)と消費税メインになることでidと結合されると思います(控除や制度が面倒な所得税がなくなると思います)。
最後に、課税からの開発者への還元は、国を超えても行われるような経済共同体化がおこります(iTunesがそれを一部現実に引き寄せています)。そうなると個人開発の知財は審査に通って買い上げられたら公的年金がでたり、企業は開発および知財にばかり注力し、営業は非常に少ない(BtoBを行う旨ホームページに書くだけ)形態となるかもしれません。特に後者、IT系知財企業はすでにそういうことが多いですね(半官半民組織へのヘッドハンティングなんてよく聞きます)

まあ、そのまえに完全にセキュリティが改善しつづけられ、ハッキングに強い共通システムが存在しなくてはなりませんし、それでいて為替や文化などの変数に対する自由度、プライバシーも保護しつつ、使用法についていけない個人が出ない程度にシステムを洗練しなければなりません。国の組織が入札も値段でしか選べないほどITに弱いまま手続をまかせられれば、社保庁のような問題になることはすでに判明しました。となると上記の社会の進歩は数学の発展進歩および人材に支えられているということになるのでしょうか。
公務員改革で減らした人材の分、新たに数学・情報など理系分野のエキスパートを増やし、待遇も向上せねばならないと感じます。

追記http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071109-00000023-mai-soci
さっそくモバイルSuicaのなりすまし事件が報告されました。

*1:ここでの「仮託」は、「本当に価値がある「工夫」は手に取れず目にも見えないなので、手に取れる品を売り買いしたときに価値の使用も許可するような細工を加えて、価値の所有権を移動させる場合の、その細工」とでもいえましょう